【気候変動】政府間機構 IPCCとその活動
- 2021/08/20
- 07:47
本ブログではこれまで世界の気候変動に伴う温室効果ガス排出対策としての「カーボン・ニュートラル」、「ネット・ゼロ」の取り組みについて、欧州や中国の例を挙げ、述べてきた。本稿では、スイス・ジュネーブに本拠を持つ政府間機構、IPCC(Intergovernmental Panel on Climate Change、気候変動に関する政府間パネル)を取りあげ、その活動を紹介する。
IPCCは、1988年に世界気象機関(World Meteorological Organization, WMO)と国連環境計画(United Nations Environment Programme, UNEP)によって設立された政府間機構である。以下、IPCCのウェブサイトに基づき、本機構の設立目的と活動について記す。
本機構は、気候変動、とりわけ、地球温暖化について科学的な研究の収集と整理を行い、気候政策の策定に使用できる科学的情報をあらゆるレベルの政府に提供することである。IPCC報告書は、国際的な気候変動交渉への重要なインプットでもある。IPCCは、国連またはWMOのメンバーである政府の組織だ。
IPCCには現在195カ国のメンバーがおり、世界中から何千人もの人びとがIPCCの活動に貢献している。評価報告書(Assessment Reports)では、IPCCの科学者がボランティアで毎年発行される何千もの科学論文を評価し、気候変動の要因、その影響と将来のリスクについて知られていること、および適応と緩和がそれらをどのように減らすことができるかについての包括的な要約を提供する。
世界中の専門家や政府によるオープンで透明性のあるレビューは、客観的で完全な評価を確実にし、多様な見解や専門知識を反映するために、IPCCプロセスの重要な部分である。 IPCCは、その評価を通じて、さまざまな分野における科学的合意の強さを特定し、さらなる研究が必要な場所を示す。 IPCCは独自の調査は行っていない。
最後に、IPCCが8月9日に発表した第6次評価報告書(プレスリリースPDF版、ファクトシートPDF版)に触れる。これは政策決定者向(Summary for Policymakers)け「要約」であり、重要ながら複雑な科学の報告書を、各国の政策決定者にわかりやすく伝えるための40ページ程度の「要約」である。読者各位の関心に合わせおお読みいただきたい。
今回の報告書は、IPCC第1作業部会(Working Group 1 注)の貢献に基づき発行された第6次評価報告書『気候変動2021:自然科学的根拠』(The Sixth Assessment Report, Climate Change 2021: The Physical Science Basis)は、気候システムと気候変動の最新の物理的理解に取り組み、気候科学の最新の進歩をまとめ、古気候(paleoclimate、地質学的過去の特定の時期に流行した気候)、観測、プロセス理解及び地球規模と地域の気候シミュレーションからの複数の証拠を組み合わせている。
注 IPCCは、三つの作業部会に分かれており、第1作業部会は、温暖化の科学(自然科学的根拠)、第2は温暖化の影響(影響、適応、脆弱性)、そして第3は温暖化の対策(気候変動の緩和策)です。今回は、第1作業部会から自然科学に関する報告書が発表されたものである。
出所:IPCC
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